もう一つのラーメン即席物語

とびっこコラム

第五回

秋葉原のコスプレイヤーとイトメン

首都・東京でのイトメンのチャンポンめんはどうか。
残念ながら東京のスーパーやコンビニではイトメン製品は目にすることが少ない。
が、チャンポンめんのファンはいる。
「残念なイトメンキャンペーン応援キャンペーン!」が始まって数ヶ月。Twitterを通じてコスプレイヤー「えびの」さんがチャンポンめんファンだということを知った。 これはぜひお会いして、お話をお聞きしなくてはくてはならない。

ということでコスプレのメッカ東京・秋葉原を訪ねることにした。
えびのさんは富山県ご出身。大学生として東京に来てコスプレイヤーとして関東中心に人気を博した。「コスプレ歴は、もう十年ぐらいです。だははっ」と笑う。
現在は就職して新潟県長岡市に住んでいるが、この通り現役コスプレイヤーだ。

イトメンのキャラクター「とびっこ」は、イトメンの本社所在地である龍野が生んだ三木露風作詞の童謡「赤とんぼ」にちなんだもので、昭和38年(1963)にデザインされた。
その後、半世紀を記念して2013年に新キャラクターを公募。二代目キャラクターの「アカネちゃん」が誕生し、消費者キャンペーンやイベントなどに登場している。

えびのさんはアニメっぽい「アカネちゃん」のコスチュームを自作してきてくれた。
ショッキングピンクが基本となるコスチュームはインパクト大だ。赤とんぼの大きな眼を象徴する眼鏡フレーム、かわいい黄色い帽子、もちろん羽まで付いている。

アニメのオタク文化とインスタントラーメンは親和性が高い。
というか、彼らにとってインスタントラーメンは主食に近いのかもしれない。
えびのさんは、チャンポンめんを「シンプルな味だから、アレンジしても楽しめるんです」と「その日その時の気分で」いろんな食べ方を楽しんでいる。
エスニック風にナンプラーやゴマ油をたらしたり、イタリアン的にオリーブ油を加えてみたり。
「あるもの何でも入れて食べますね」と前の晩つくった麻婆豆腐や中華丼の具をのせたりもしている。「イトメンのホームページ見て、カルボナーラ風もいいね」とかも。

富山県魚津市で生まれて育ったえびのさんは、「家にあるラーメンがチャンポンめんで、それしか知らない。チャンポンめんで育ちました」と笑う。
地元ではチャンポンめんのテレビCMが流れていて、どこのスーパーでも売っていた。だから全国どこにでもあると思っていたという。

進学のために東京に来たとき、当然のようにチャンポンめんを買って帰って食べようとしてある店をのぞくと、袋入り即席麺のコーナーにチャンポンめんはなかった。
「この店は置いてないんだ」とのことで別の店に行くと、また置いてない。これはおかしいぞ、ということで店を何軒かハシゴするがない。
「東京にはチャンポンめん、ないんだ」とようやく気がついた。「結構、衝撃でした」と言う。

それからは、富山の実家から必ず米と一緒に送ってもらったり、富山の友人にもらったりしもた。
また、たまに百鈞ショップで「チャンポンめん」や「玉ねぎラーメン」を見つけ、「イトメン分、補給してますね」と笑う。
「イトメン、富山まで来ているけど、あと一歩、もうちょっとですから新潟まで来てほしいですね」
インスタントラーメンの育ちは面白い。

「イトメン知らない」「イトメン知ってるでツイートしてくれた方に抽選でプレゼント!

詳しくはこちら

江 弘毅(こう ひろき)
<編集者・著述家>
雑誌・新聞の連載・執筆、京阪神の「街」と「食」「岸和田だんじり祭礼」中心の書籍編集のほか、NHKラジオ第1放送『かんさい土曜ほっとタイム』などにレギュラー出演。
岸和田だんじり祭の祭礼関係者であり、2003年五軒屋町若頭筆頭。その日記連載のブログ(HP「内田樹の研究室」内の「日本一だんじりなエディター」江弘毅の甘く危険な日々)が単行本化されたことから「だんじりエディター」として取り上げられることがある。2010年五軒屋町曳行責任者。
神戸学院大学人文学部客員教授(2005年)、京都精華大学人文学部非常勤講師(まちづくり論、2007年 - 2010年)、神戸女学院大学文学部非常勤講師(2008年 - )。
2014年の140BのWEB連載をきっかけに自らのカメラで写真も撮り始める。

●主な著書
岸和田だんじり祭だんじり若頭日記(晶文社,2005年)
「街的」ということ〜お好み焼き屋は街の学校だ(講談社現代新書,2006年)
京都・大阪・神戸 店のネタ本(編著、マガジンハウス,2006年)
岸和田だんじり讀本(編著、ブレーンセンター,2007年)
街場の大阪論(バジリコ,2009年. 新潮文庫,2010年)
ミーツへの道 「街的雑誌」の時代(本の雑誌社,2010年)
「うまいもん屋」からの大阪論(NHK出版,2011年)
『大阪人』増刊号「ちゃんとした大阪うまいもんの店」(吉村司と共著、大阪市都市工学情報センター,2011年)
飲み食い世界一の大阪 〜そして神戸。なのにあなたは京都へゆくの(ミシマ社,2012年)
有次と庖丁(新潮社,2014年)

home  home